この問題の使い方

  1. まず企業概要(与件文)をじっくり読み、B社の強み・弱み・課題を把握してください。
  2. 設問ごとに指定字数内で実際に解答を書いてみましょう(紙またはメモ帳を用意)。
  3. 解答を書き終えたら「解答・解説を見る」ボタンをクリックして解答例と照らし合わせます。
  4. 「解答のポイント」で採点官が重視する要素を確認し、自分の解答を改善しましょう。

【問題】B社の事例

企業概要(与件文)

B社は、地方都市に立地する従業員12名の老舗和菓子製造・販売業者である。創業80年を誇り、地元では知名度が高い。主力商品は季節の生菓子・上生菓子で、素材へのこだわりと職人の技術が強みである。売上の約70%は地元の冠婚葬祭・法人ギフト需要に依存しており、個人顧客向けの販売は店頭のみで行っている。

近年、大型スーパーや全国チェーンの和菓子店の参入、若年層の和菓子離れにより売上が伸び悩んでいる。一方でインターネットやSNSを活用した地方の食品メーカーが全国に販路を拡大している事例が増えており、B社もEC展開を検討しているが、ノウハウが不足している。

観光客(年間約30万人が訪れる城下町)への販売は現状ほとんどできておらず、インバウンド対応も未整備である。地元の旅館・ホテルとの取引はあるが、ギフト商品以外の商品開発は長年行われていない。

設問

第1問

B社がターゲットとすべき新規顧客層と、そのターゲットに対するポジショニングを80字以内で述べよ。

配点:20点 字数目安:80字以内

0 / 80字

第2問

B社が観光客・インバウンド需要を取り込むために取るべき施策を120字以内で述べよ。

配点:25点 字数目安:120字以内

0 / 120字

第3問

B社がEC販売を成功させるために必要な施策を、4Pの観点から3点、120字以内で述べよ。

配点:25点 字数目安:120字以内

0 / 120字

第4問

B社が中長期的に既存顧客(地元法人・冠婚葬祭需要)との関係を強化しながら、新規顧客を獲得するための総合的なマーケティング戦略を150字以内で提言せよ。

配点:30点 字数目安:150字以内

0 / 150字

【解答例・解説】

第1問 ターゲットとポジショニング(配点20点)

解答例(78字)

ターゲットは30〜40代の贈答品需要を持つ都市部在住者と訪日外国人観光客。80年の伝統と職人技を前面に出した「本物の和菓子体験」をポジショニングとし、大手チェーンとの差別化を図る。

設問分析

  • 設問要求:「ターゲット」と「ポジショニング」の2点が明示されている。STPフレームワークのT(ターゲティング)とP(ポジショニング)を問う典型的な第1問設問。
  • 注目すべき与件文:「売上70%が地元法人ギフト需要」(既存ターゲットの偏り)「若年層の和菓子離れ」「インバウンド増加」(新規ターゲットの手がかり)「創業80年・職人技・素材へのこだわり」(差別化の根拠)。
  • 字数配分の目安:80字でターゲット40字+ポジショニング40字の均等配分。ターゲットは属性+ニーズで、ポジショニングは競合との差別化軸で記述。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • ターゲットとポジショニングの2点を必ず両方書く——どちらか一方だけでは大幅減点
  • 「誰に・何で差別化するか」を明確に——抽象的な記述は避ける
  • 与件文にある強み(伝統・職人技・素材へのこだわり)をポジショニングに活かす

よくある失点パターン

  • 「全ての顧客層をターゲットにする」という絞り込み不足の解答。ターゲットが広すぎるとポジショニングも曖昧になる。
  • ターゲットのみ書いてポジショニング(差別化の軸)を省略するパターン。設問の2要件を必ず両方満たすこと。
  • 「伝統を活かす」だけで競合(大手チェーン)との具体的な差別化軸が示されていない解答。

加点のコツ

  • 訪日外国人観光客を2つ目のターゲットとして示すと、与件文の「インバウンド対応も未整備」という課題への対応として評価が高まる。
  • 「本物の和菓子体験」という体験価値をポジショニングに加えると、モノ(商品)ではなくコト(体験)の差別化として現代的な視点が伝わる。
第2問 観光客・インバウンド需要の取り込み施策(配点25点)

解答例(115字)

①旅館・ホテルと連携した体験型ワークショップ(和菓子作り体験)を提供し観光コンテンツ化する、②多言語対応のPOPや商品説明を整備し外国人が購入しやすい環境を作る、③小分け・個包装の土産用商品を開発して観光客の購買単価と土産需要を取り込む。

設問分析

  • 設問要求:「観光客・インバウンド」という2つの顧客層に対する施策を問う。両者を意識した施策を複数示す必要がある(観光客一般施策とインバウンド特有施策)。
  • 注目すべき与件文:「観光客への販売はほとんどできていない」「インバウンド対応も未整備」「地元旅館・ホテルとの取引はある」(連携先の示唆)「ギフト商品以外の商品開発は長年行われていない」(新商品開発の余地)。
  • 字数配分の目安:120字で「体験価値の提供40字+インバウンド対応40字+商品開発40字」の3点均等配分が標準。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • 「体験価値」の提供——観光客が立ち寄る動機を作る施策があるか
  • 「購買障壁の除去」——インバウンドへの言語・包装の対応策があるか
  • 「商品設計」——観光客向けの新商品(土産・個包装)の開発視点があるか

よくある失点パターン

  • 「SNSで発信する」という認知施策だけを書いて、観光客が実際に立ち寄る動機(体験・商品)への言及がない解答。
  • 観光客への施策のみでインバウンド(外国人)特有の対応(多言語・文化配慮)に触れない解答。設問は「観光客・インバウンド」の両方を問うている。
  • 「旅館と連携する」とだけ書いて、何をどのように連携するかの具体性がない解答。

加点のコツ

  • 「旅館・ホテルと連携した体験型ワークショップ」という表現は、既存取引関係(与件文の根拠)を活かした連携として実現可能性が高く評価される。
  • 「個包装・小分けの土産用商品開発」は与件文の「商品開発が長年されていない」課題への直接対応として、商品開発の視点が加わり加点される。
第3問 EC販売成功に向けた施策(4Pの観点)(配点25点)

解答例(118字)

①Product:職人の技が伝わるストーリー性のある商品ページとギフト対応包装を整備する、②Promotion:インスタグラムで職人の制作過程を発信しブランド価値を訴求する、③Place:自社ECサイトと食品専門モール(楽天等)の併用でアクセスしやすさを確保する。

設問分析

  • 設問要求:「4Pの観点から3点」という明示的な制約がある。4P全てではなく3点に絞ることと、どのPに対応するかを明示することが求められる。
  • 注目すべき与件文:「ECノウハウが不足している」(ECの課題)「職人の技術・素材へのこだわりが強み」(Product/Promotionの根拠)「個人顧客向けは店頭のみ」(Place=流通チャネルの課題)。
  • 字数配分の目安:120字で「Product施策40字+Place施策40字+Promotion施策40字」の3点均等配分。各Pの冒頭に「Product:」と明示すると採点官に伝わりやすい。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • 設問指示通り「4Pの観点から3点」に絞って記述しているか(全部書こうとすると字数超過)
  • 各施策がEC展開の成功に直結しているか——ターゲットと施策が一致しているか確認
  • P・P・Pのどれを選んでも、B社の強みである「職人技・伝統」との結びつきを意識する

よくある失点パターン

  • 4Pを全て書こうとして字数超過になるパターン。設問の「3点」という制約を守ること。
  • どのPの施策かを明示せずに施策を列挙するだけの解答。「4Pの観点から」という指定に応えるため、「Product:」「Promotion:」などの明示が必要。
  • EC展開と無関係なオフライン施策(店舗改装・接客改善等)を4Pとして挙げるパターン。設問は「EC販売の成功」に限定されている。

加点のコツ

  • 「職人の制作過程をInstagramで発信する」というPromotion施策は、B社の「職人技」という強みをEC集客に直結させる論理的な提案として高評価。
  • 「楽天等の食品専門モールとの併用」というPlace施策は、ノウハウ不足という課題に対してモール側のサポートを活用する現実的な提案として加点される。
第4問 総合的なマーケティング戦略(配点30点)

解答例(148字)

既存顧客向けには顧客台帳を整備し購買履歴に基づく季節DM・優待制度で関係性を強化する。新規顧客向けにはSNS発信でブランド認知を高め、EC展開で地理的制約を超えた販売チャネルを確立する。観光客向けには体験イベントと土産商品開発で単価と来店頻度を高める。3軸を連動させリピーター化を促進する。

設問分析

  • 設問要求:「既存顧客との関係強化」と「新規顧客獲得」という2軸の「総合的なマーケティング戦略」を150字で提言する総合型設問。既存・新規の両面に言及しながら連動させる視点が求められる。
  • 注目すべき与件文:「70%が地元法人ギフト需要」(既存顧客の中核)「個人顧客向けは店頭のみ」「EC・SNSのノウハウ不足」「観光客向けの販売未整備」——これらが総合戦略のターゲットと課題を示す。
  • 字数配分の目安:150字で「既存顧客維持施策50字+新規顧客獲得施策(EC・観光)70字+連動・効果30字」の構成が目安。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • 既存顧客維持と新規顧客獲得を切り分けて記述しているか(設問要求を満たすため必須)
  • 各施策が「連動・相乗効果」として機能することに言及すると高得点
  • 「リピーター化」など顧客生涯価値(LTV)の視点があるとさらに評価が高い

よくある失点パターン

  • 新規顧客獲得施策のみを書き、「既存顧客との関係強化」という設問要求の半分を落とすパターン。設問の2軸を両方書くこと。
  • 前の設問(第2・3問)の施策を羅列するだけで、「総合的な」という統合視点・連動効果が示されていない解答。
  • 施策の列挙で字数を使い切り、目指すゴール(収益基盤の安定・LTV向上等)への接続が示されない解答。

加点のコツ

  • 「顧客台帳の整備・購買履歴に基づく季節DM」というCRM視点は既存顧客との関係強化として具体的で、採点官に「制度・仕組みとして提案している」と評価される。
  • 「3軸(既存・EC・観光)を連動させ、リピーター化を促進する」という締め方は、総合戦略としての統合性を示し高得点の構成として有効。