事例Ⅱの特徴・出題傾向
出題テーマ
- ▸ ターゲット顧客の選定・ペルソナ設定
- ▸ 製品・サービスの差別化・ブランディング
- ▸ 価格戦略(プレミアム価格・バンドル等)
- ▸ プロモーション施策(SNS・イベント・口コミ)
- ▸ チャネル戦略(直販・EC・代理店)
- ▸ 顧客関係管理(CRM)・リピーター獲得
設問の傾向
- ▸ 「ターゲット顧客を明示せよ」→ STP分析型
- ▸ 「新規顧客獲得施策を述べよ」→ 集客型
- ▸ 「既存顧客維持策を述べよ」→ リテンション型
- ▸ 「新チャネル展開を提言せよ」→ 流通戦略型
- ▸ 「ブランド強化の方策を述べよ」→ ブランディング型
事例Ⅱ攻略のポイント
事例Ⅱは「誰に(ターゲット)・何を(提供価値)・どうやって(施策)」の3点を明確に書くことが重要です。抽象的な施策(「SNSを活用する」)ではなく、ターゲットと結びついた具体的な施策(「既婚女性30代をターゲットに、インスタグラムで調理シーンを発信し、EC購入へ誘導する」)を書くようにしましょう。
解答フレームワーク
採点官は「ターゲット→ポジショニング→施策の論理的一貫性」を確認する。ターゲットが曖昧だと施策も抽象的になり全体の得点が下がる。STPを先に確立してから4Pを展開するのが事例Ⅱの基本順序。
【各ステップの書き方】S(セグメンテーション):「年代・性別・職業・ライフスタイル」の属性軸と「ニーズ・行動特性」で市場を切る。T(ターゲティング):「30〜40代の贈答需要を持つ都市部在住者」など具体的な属性で絞り込む。P(ポジショニング):競合との差別化軸を「伝統×体験価値」など与件文の強みから設定する。
【向く場面】「ターゲット顧客層を特定しポジショニングを示せ」型。事例Ⅱで第1問に出題されることが多く、この設問の精度が後続設問の論理的整合性を左右する。
【注意点】「若い人と高齢者を両方ターゲットにする」という絞り込み不足の解答は減点対象。ターゲットは1〜2セグメントに明確に絞ること。
解答テンプレート
ターゲットは〇〇(属性)で、〇〇というニーズを持つ顧客層である。当社は〇〇(強み・差別化要因)を強みに、〇〇をポジショニングとし、競合他社との差別化を図る。
採点官は「ターゲットと4Pの整合性」と「施策の具体性」を重視する。4P全部を書いて薄い内容になるより、2〜3点を深く書く方が高得点につながる。
【各Pの書き方】Product:「何を売るか」ではなく「顧客価値」の観点から記述(例:職人技が伝わるパッケージ・ギフト対応)。Price:「いくらにするか」ではなく「価格戦略の意図」を示す(例:プレミアム価格で差別化を維持)。Place:「どこで売るか」を与件文の流通現状と照らし合わせて提案(例:ECサイト+食品モール)。Promotion:「どう伝えるか」をターゲットの情報接触経路に合わせて提案(例:インスタグラムで職人工程を発信)。
【向く場面】「4Pの観点から施策を述べよ」と明示された設問。または施策型の設問全般の下地として使う。
【注意点】設問が4Pを指定していない場合はどのPの施策か明示しなくてもよい。ただし内容は必ずどれかのPに対応していること。
解答テンプレート(施策3点型)
①Product:〇〇というニーズに応える〇〇商品・サービスを開発する。②Promotion:〇〇(ターゲット接点)で〇〇を訴求する。③Place:〇〇チャネルを通じてアクセスしやすくする。
採点官はLTV(顧客生涯価値)向上への意識があるかを確認する。単なる「また来てもらう施策」ではなく「購買頻度・購買単価・継続期間」を高める仕組みとして提案すると説得力が増す。
【各ステップの書き方】顧客の現状把握:「顧客台帳の整備・購買履歴の蓄積」でデータ管理の基盤を確立する。関係維持の接触:「季節DM・誕生日クーポン・ニュースレター」など定期的なコミュニケーションで忘れられない存在に。パーソナライズ対応:「購買履歴に基づくおすすめ提案・優待制度」で特別感を演出。推薦促進:「口コミ・紹介制度」で既存顧客が新規顧客を連れてくる仕組みを作る。
【向く場面】「既存顧客との関係強化」「リピーター獲得策」「CRM施策」型の設問。
【注意点】会員制度・ポイントカードはツールであり目的ではない。「なぜその仕組みで顧客が再訪するのか」という因果関係を必ず示すこと。
解答テンプレート
顧客情報を蓄積し、購買履歴・来店頻度に基づいて〇〇を実施する。〇〇(接触チャネル)で定期的にコミュニケーションを取り、個別ニーズに合った〇〇を提案することで顧客ロイヤルティを高め、リピート購買と口コミ獲得につなげる。
採点官は「自社の強みと新市場の親和性」を論理的に示せているかを確認する。与件文に根拠のない新市場への展開は評価されにくい。
【各ステップの書き方】既存強みの整理:技術力・顧客基盤・ブランド・立地など与件文から強みを列挙。機会の認識:与件文の「観光客増加」「EC市場拡大」などの外部環境を機会として特定。新市場への展開:強みと機会の接点(インバウンド向け商品開発・EC展開等)を施策として提示。チャネル・販路:既存顧客との関係を活かした紹介・口コミや、新規チャネル(旅館・ホテルとの提携等)を提案。
【向く場面】「新規顧客開拓」「市場拡大のための施策」「観光需要の取り込み」型の設問。
【注意点】現在対応できていない市場(与件文で「未整備・未実施」と書かれた分野)は機会として扱いやすいが、強みとの接点を示さないと「なぜできるのか」が不明確になる。
解答テンプレート
新たなターゲットとして〇〇を設定する。当社の〇〇(強み)は〇〇というニーズを持つ新市場でも有効に機能する。〇〇チャネルと〇〇プロモーションで認知を獲得し、既存顧客の口コミも活用して段階的に展開する。
採点官は「顧客との接点の各段階で価値を高める施策が描けているか」を確認する。単一の施策ではなくカスタマージャーニー全体をカバーする多層的な提案が高得点につながる。
【各ステップの書き方】認知段階:「SNS・口コミ・地域メディア」などで存在を知ってもらう施策。初回体験段階:「体験型イベント・お試し商品・わかりやすい説明・多言語対応」など来店・購買のハードルを下げる施策。継続段階:「会員制度・購買履歴活用・季節DM」など再購買を促す仕組み。推薦段階:「紹介特典・SNSシェアを促すフォトスポット・口コミ醸成策」で既存顧客が口コミ発信者になる仕組み。
【向く場面】「顧客体験を高める施策」「リピーター獲得と新規顧客獲得を両立する施策」の総合型設問。
【注意点】与件文でどのステージの課題が大きいかを確認し、そのステージへの施策を厚く書くこと。全ステージを均等に書こうとすると字数が足りなくなる。
解答テンプレート
初回体験の質を高めるため〇〇(体験設計・接客強化等)を実施し、購入後は〇〇(フォローメール・サポート)で継続利用を促す。さらに〇〇(ポイント・特典)でロイヤル顧客化し、口コミ・紹介キャンペーンで新規獲得コストを削減する。
採点官は「なぜそのパートナーと組むのか(相互補完の論拠)」と「具体的な共同施策」の2点を重視する。「旅館と連携する」だけでは不十分で、「何を補完し合い何を共同で行うか」が問われる。
【各ステップの書き方】パートナーの選定:与件文で言及されている取引先・地域資源(旅館・農家・観光協会等)を優先して選ぶ。既存の関係があれば連携の実現可能性が高まる。相互補完の整理:「自社が提供するもの(商品・技術・体験)」vs「パートナーが提供するもの(集客力・場所・情報発信力)」を明確にする。共同施策:体験イベント・共同商品開発・相互送客・合同SNS発信など具体的なコラボ内容を記述。集客・販促:共同チラシ・地域マップ掲載・観光ルート組み込みなどプロモーション手段も提案。
【向く場面】「地域連携策を提言せよ」「他事業者とのコラボ施策を述べよ」型の設問。
【注意点】与件文に既存の取引関係(旅館・ホテルとの取引等)が書かれている場合はそこから連携先を選ぶと現実性が高まり得点しやすい。
解答テンプレート
地域の〇〇(観光施設・農産物生産者等)と連携し、〇〇という相互補完関係を構築する。共同で〇〇(イベント・商品開発・SNS発信)を実施することで、互いの顧客基盤にリーチし、認知拡大と集客増加を相乗的に実現する。
採点官はデジタルツールの「目的と使い方の整合性」を確認する。「SNSをやる」「ECを作る」では評価されにくく、「誰に・何を・どう伝えるか」という目的と手段の対応関係が問われる。
【各ステップの書き方】認知拡大:インスタグラム(ビジュアル訴求に強い)・Googleマイビジネス(地域検索)・SEO対策で存在を知ってもらう。集客:公式サイトのリニューアル・ランディングページ・Googleマップ最適化でアクセスを増やす。購買:自社ECサイト+楽天・Amazon等食品モール活用で販売機会を拡大。継続:LINE公式アカウント・メルマガ・リターゲティング広告でリピート購買を促進。
【向く場面】「SNS・デジタルを活用した集客施策」「EC展開の方法」型の設問。
【注意点】中小企業の現実的なリソースを意識し、大企業向けの高コスト施策(TV広告・大規模広告運用等)は提案しない。低コスト・高効果のSNS活用が事例Ⅱでは評価されやすい。
解答テンプレート
①SNS(インスタグラム・X等)で〇〇(ターゲットに刺さるコンテンツ)を発信して認知を拡大し、②ECサイト・予約ページへ誘導して購買に結びつける。③購入後はメールマガジンや〇〇でフォローし、リピート購買とLTV向上を図る。
頻出キーワード一覧
STP・ターゲティング
製品・ブランド戦略
顧客関係・プロモーション
チャネル・流通戦略
デジタルマーケティング
価格戦略
設問パターン別 解答のポイント
設問パターン① 新規顧客獲得施策
「新規顧客を獲得するための施策を述べよ」タイプ
- 「どんな新規顧客を獲得するか(ターゲット)」を最初に明示する
- 認知→関心→来店(購買)という顧客の購買プロセスに沿って施策を記述する
- デジタル施策(SNS・SEO)と対面施策(体験イベント・試食等)を組み合わせる
- 施策の目的(認知拡大?試用促進?)を意識して記述する
解答例(130字)
新規ターゲットとして健康志向の20〜30代女性を設定する。①インスタグラムで商品の使用シーンを発信し認知を高め、②初回購入割引クーポンをECサイトで配布して試用を促す。③購入後フォローメールで定期購入を誘導し、リピーターへの転換を図る。設問パターン② 既存顧客維持策
「既存顧客との関係を強化し、売上を維持・拡大するための施策を述べよ」タイプ
- 「顧客データの収集・活用」を起点にした施策を記述する
- ポイントカード・会員制度・定期購入など「囲い込み」の仕組みを提案する
- クロスセル・アップセルの機会を作る施策も有効(関連商品の提案など)
- 「顧客との関係性」(担当制・パーソナル対応)を強調すると差別化につながる
解答例(130字)
顧客台帳を整備し購買履歴・嗜好を蓄積する。①購買データを基にパーソナライズしたDMを送付して再来店を促し、②累積購入額に応じた優待制度を設けてロイヤルティを高める。③年間イベントへの招待で特別感を演出し、口コミによる紹介獲得にもつなげる。設問パターン③ 新市場への展開
「新たな市場・顧客層へ展開するための方策を述べよ」タイプ
- 「既存の強みを活かせる」新市場かどうかを最初に確認する(強みとの連続性)
- 新市場の特性・ニーズを与件文から確認し、ターゲットの解像度を高める
- 参入リスクを低減するための段階的展開(小規模テスト→拡大)を提案するのも有効
- アライアンス・代理店活用など既存チャネルとの連携も選択肢に含める
解答例(130字)
既存の食品加工技術を活かし、法人(飲食店・ホテル)向けB2B市場への展開を提案する。試食会・展示会への出展で認知を獲得し、既存飲食店顧客の紹介ネットワークを活用して初期顧客を確保する。小規模試験導入後にフィードバックで商品改良し本格展開する。設問パターン④ ブランド戦略の強化
「ブランド価値向上のための施策を述べよ」タイプ
- 「ブランドの核(何で差別化するか)」を与件文から特定してから施策を組み立てる
- ブランド構成要素(名称・ロゴ・世界観・ストーリー)のうちどれを強化するかを明示する
- 高価格帯維持のためのブランド価値と、値引きせずに売る仕組みを提案する
- SNS・PR施策でブランドの世界観をターゲットに届ける方法を具体的に書く
解答例(140字)
ブランド強化のため、①職人の技術と素材へのこだわりをブランドストーリーとして言語化・発信し、②SNSとWebサイトで高品質な世界観を統一的に表現する。③プレミアム価格を維持しながら品質体験型イベントを開催し、顧客のブランドへの共感と愛着を深めて口コミでの拡散を促進する。設問パターン⑤ デジタルチャネル活用
「デジタルを活用したマーケティング施策を述べよ」タイプ
- 「どのデジタルチャネルを・なぜそのターゲットに・どのように使うか」を明確にする
- SNSの種類(インスタ・X・YouTube等)とターゲットの親和性を意識して選択する
- 認知(SNS)→集客(HP/EC)→購買(決済)→継続(メール・LINE)のファネルで整理する
- コスト対効果が見えやすい施策(SEO・SNS無料運用)から提案すると現実的に見える
解答例(140字)
ターゲットである30〜40代女性向けに、インスタグラムで商品の使用シーンや開発背景を定期発信して認知を拡大する。プロフィールからECサイトに誘導し、初回購入クーポン配布で試用を促進する。購入後はLINE公式アカウントで新商品情報と特別特典を届け、リピート購買とLTV向上を図る。よくある失点パターンと改善策
事例Ⅱで得点を落としやすいポイント
以下の失点パターンは実際の答案で繰り返し見られるものです。自分の解答と照らし合わせてチェックしてください。
NG例:やりがちな失点パターン
NG① ターゲットを明示せず施策だけ書く
「SNSで発信する」「イベントを開催する」のようにターゲット顧客が不明確なまま施策を列挙するケース。事例Ⅱでは「誰に」が最初に来ることが大原則であり、ターゲットなき施策は減点対象になりやすい。
改善策:施策を書く前に必ず「ターゲットは〇〇(属性+ニーズ)である」という一文を置く習慣をつける。ターゲットから導かれた施策であることを明示する。
NG② 4Pを全部書こうとして字数オーバー・薄くなる
設問の意図に関係なく「製品・価格・流通・プロモーション」を全て書こうとして、各Pの内容が薄くなるケース。字数制限内では優先度の高い1〜2つのPを深く書いた方が得点につながる。
改善策:設問文の意図(集客?リテンション?ブランド?)を確認し、それに最も関連するPを優先して深掘りする。残りのPは一言程度で触れるか、省略する判断も必要。
NG③ 競合優位性・差別化への言及がない
施策を提案しているが「なぜ競合ではなく自社を選ぶのか」というポジショニングの視点が抜けているケース。事例Ⅱでは「競合との差別化」が解答の核となることが多い。
改善策:施策を書く際に「自社の〇〇という強みにより競合との差別化を実現する」という表現を意識的に加える。与件文の競合情報を必ず参照する。
NG④ 設問で聞いていない顧客層への施策を書く
「既存顧客の維持策を述べよ」という設問に対して、新規獲得施策まで書いてしまうケース。設問が限定していることを無視した回答は、問いに答えていないとみなされ減点される。
改善策:設問文の「既存顧客」「新規顧客」「〇〇層」という限定表現を見落とさないよう、解答前に設問文にアンダーラインを引く習慣をつける。
NG⑤ 中小企業の規模感を無視した大企業向け施策を書く
「全国にTV CMを展開する」「大規模なキャンペーンを実施する」など、中小企業の経営資源(資金・人材・時間)に見合わない施策を書くケース。実現可能性の低い提案は評価されにくい。
改善策:施策を書く際に「この規模の中小企業が実際に実行できるか」を必ず自問する。SNS・口コミ・地域連携など低コストで高効果の施策を優先的に選択する。
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