この問題の使い方

  1. まず企業概要(与件文)をじっくり読み、C社の強み・弱み・課題を把握してください。
  2. 設問ごとに指定字数内で実際に解答を書いてみましょう(紙またはメモ帳を用意)。
  3. 解答を書き終えたら「解答・解説を見る」ボタンをクリックして解答例と照らし合わせます。
  4. 「解答のポイント」で採点官が重視する要素を確認し、自分の解答を改善しましょう。

【問題】C社の事例

企業概要(与件文)

C社は、中部地方に立地する従業員45名の金属部品加工メーカーである。自動車部品メーカーへの部品供給を主力とし、精密加工技術に強みを持つ。売上の80%は自動車関連であり、特定の大手Tier1メーカーへの依存度が高い。

生産方式は個別受注生産で、受注後に原材料を調達するため、納期が製品によって大きくばらつく。受注から納品まで平均25日かかっており、得意先から「リードタイム短縮」を繰り返し要求されている。工程は①材料調達→②粗加工→③精密加工→④検査→⑤出荷の5段階で、工程②と③の間に仕掛品が滞留することが多い。

熟練技能者(平均年齢54歳)への技術依存が高く、若手(20〜30代)への技術移転が進んでいない。作業手順書の整備も不十分であり、品質のばらつきが発生している。近年、EV化の流れで自動車部品需要の変化も見込まれており、新分野への参入も課題となっている。

設問

第1問

C社の生産上の最大の問題点を指摘し、100字以内で述べよ。

配点:20点 字数目安:100字以内

0 / 100字

第2問

C社がリードタイムを短縮するための施策を具体的に120字以内で述べよ。

配点:25点 字数目安:120字以内

0 / 120字

第3問

C社が品質の安定化を図るための施策を120字以内で述べよ。

配点:25点 字数目安:120字以内

0 / 120字

第4問

C社が中長期的に技術力を維持・強化しながら新分野へ参入するための戦略を150字以内で提言せよ。

配点:30点 字数目安:150字以内

0 / 150字

【解答例・解説】

第1問 生産上の最大の問題点(配点20点)

解答例(96字)

最大の問題点は、工程②粗加工と③精密加工の間で仕掛品が滞留し、リードタイムが平均25日と長期化していることである。熟練者依存と作業手順書の未整備による品質ばらつきも生産効率を低下させている。

設問分析

  • 設問要求:「生産上の最大の問題点」という限定があるため、財務・営業・組織の問題ではなく生産・製造工程上の問題に絞って解答する。「最大の」という表現から1〜2点の主要問題に絞り込むことが求められる。
  • 注目すべき与件文:「工程②と③の間に仕掛品が滞留することが多い」「リードタイムが平均25日」「熟練技能者への依存が高く技術移転が進んでいない」「作業手順書の整備も不十分で品質ばらつきが発生」の4点が直接的な根拠。
  • 字数配分の目安:100字で「主要問題(リードタイム・仕掛品滞留)60字+付随問題(品質ばらつき・熟練者依存)40字」の配分が目安。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • 与件文に書かれている具体的な問題(滞留・25日・熟練者依存)を引用して根拠を示す
  • 「生産上」の問題に絞る——売上低迷や財務上の問題は対象外
  • 主要問題(リードタイム長期化)と付随問題(品質ばらつき)を両方触れると網羅的

よくある失点パターン

  • 「自動車部品需要の変化でビジネスが危うい」という市場・戦略上の問題を書くパターン。設問は「生産上」の問題に限定されている。
  • 問題を多数列挙しすぎて「最大の問題」という絞り込みができていない解答。優先順位をつけて主要問題を前に書くこと。
  • 問題の現象(「納期が長い」等)だけを書き、その原因(「仕掛品滞留が原因で」等)に触れない解答。

加点のコツ

  • 「平均25日」という具体数値を引用することで、与件文の根拠を活用した解答として採点官に伝わりやすい。
  • 「工程②粗加工と③精密加工の間」という工程名の具体的な言及が、生産上の問題の特定として評価が高まる。
第2問 リードタイム短縮施策(配点25点)

解答例(117字)

①工程②③間の仕掛品滞留の原因(能力ボトルネック・段取り時間等)を分析し、工程改善・追加投資で解消する、②受注時に材料手配を前倒しする調達計画を整備してリードタイムを短縮する、③生産計画システムを導入し工程の見える化で管理精度を高める。

設問分析

  • 設問要求:「リードタイムを短縮するための施策を具体的に」という明確な課題解決型。「具体的に」という指示から、工程名・システム名・施策内容を具体的に記述することが求められる。
  • 注目すべき与件文:「工程②③間の仕掛品滞留」(ボトルネック箇所)「受注後に原材料を調達する」(上流の問題)「生産計画の可視化が不十分」(情報管理の課題)が施策の根拠。
  • 字数配分の目安:120字で「ボトルネック解消施策40字+調達計画改善施策40字+生産管理システム導入40字」の3点均等配分。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • ボトルネック解消——滞留箇所を特定し工程能力を向上させる施策があるか
  • 調達改善——材料調達の前倒しや在庫バッファの設置など、上流工程への対処があるか
  • 情報システム——生産計画・見える化でリードタイムを管理する仕組みに言及しているか

よくある失点パターン

  • 「設備を増強する」とだけ書いて、どの工程の何の設備を増強するのか、それによってどの程度リードタイムが短縮されるかが不明な解答。
  • ボトルネック工程(②→③間の滞留)への対策だけを書き、上流(材料調達の遅れ)への対処を忘れるパターン。
  • 「リードタイムを短縮する」という結論だけ書いて、具体的な施策が示されない解答(設問が「具体的に」と明示している点を守ること)。

加点のコツ

  • 「受注時に材料手配を前倒し」という調達計画の改善は、個別受注生産の上流工程の問題に直接対応する施策として採点官に評価されやすい。
  • 「生産管理システムを導入し工程の見える化で管理精度を高める」というシステム化の提案は、継続的なリードタイム管理の仕組みとして高評価。
第3問 品質安定化施策(配点25点)

解答例(113字)

①熟練技能者の作業手順・加工ノウハウを文書化しマニュアルを整備する、②OJTを通じて若手への技術移転を計画的に進め、技術者資格制度で評価する、③工程ごとの品質チェックシートを導入し異常の早期発見・是正サイクル(PDCA)を確立する。

設問分析

  • 設問要求:「品質の安定化を図るための施策」という品質管理型。品質ばらつきの根本原因(熟練者依存・手順書未整備)に対応した施策が求められる。
  • 注目すべき与件文:「熟練技能者(平均年齢54歳)への技術依存が高い」「若手への技術移転が進んでいない」「作業手順書の整備も不十分で品質のばらつきが発生」の3点が施策の根拠。
  • 字数配分の目安:120字で「標準化(手順書整備)40字+技術移転(OJT)40字+品質管理の仕組み(PDCA)40字」の3点構成。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • 標準化——作業手順書・マニュアルの整備で属人的な品質ばらつきを排除する視点
  • 人材育成——若手への技術移転(OJT・資格制度)の具体的な仕組みがあるか
  • 管理の仕組み——PDCAサイクルや品質チェックシートによる検出・是正プロセス

よくある失点パターン

  • 「熟練者に頑張ってもらう」「品質に気をつける」という意識・精神論の解答。具体的な制度・仕組みとして提案することが必須。
  • 「作業手順書を作る」という標準化だけを書いて、OJTによる技術移転(実地訓練)に触れない解答。書面と実践の両方が必要。
  • 品質の「検出」(検査強化)だけを書いて、「予防」(手順標準化・技術移転)の視点が抜ける解答。源流管理が重要。

加点のコツ

  • 「技術者資格制度で評価する」という技術習熟度の評価制度を示すと、技術移転の進捗管理の仕組みとして評価が上がる。
  • 「品質チェックシートで異常の早期発見・是正サイクル(PDCA)を確立する」という表現は、検出と改善の継続的な仕組みとして事例Ⅲの高得点解答の定番。
第4問 技術力維持と新分野参入戦略(配点30点)

解答例(145字)

短期的には精密加工技術の深化と生産効率化でコスト競争力を維持しつつ、若手への技術移転を加速する。中期的にはEV・医療機器・航空部品など隣接分野への参入を検討し、既存の精密加工技術が活かせるニッチ分野を開拓する。産学連携・公的支援機関の活用で技術開発コストを抑制しながら段階的に展開する。

設問分析

  • 設問要求:「技術力を維持・強化しながら新分野へ参入する」という2つのテーマを「中長期的な戦略として150字で提言」する総合戦略型。現状の技術力維持と将来の市場開拓を両立させる戦略が求められる。
  • 注目すべき与件文:「EV化の流れで自動車部品需要の変化が見込まれる」(脅威)「精密加工技術に強みを持つ」(活かすべき強み)「熟練者依存・技術移転が課題」(強みの持続可能性の問題)。
  • 字数配分の目安:150字で「技術力維持・強化策(短期)50字+新分野参入方向性(中期)60字+リスク管理・支援活用40字」が目安。

解答のポイント(採点官が見る要素)

  • 短期・中期の時間軸で論じる——段階的アプローチが採点官に評価されやすい
  • 新分野は「既存技術との連続性」を明示する——無関連多角化は中小企業には高リスクと評価される
  • リスク軽減策(産学連携・公的支援)に言及するとリアリティが増す

よくある失点パターン

  • 「自動車部品から撤退して全く別の分野に参入する」という無関連多角化を提案するパターン。中小企業に無関連分野への参入は高リスクと判断される。精密加工技術が活かせる隣接分野への展開が現実的。
  • 新分野参入の方向性だけを書いて「技術力の維持・強化」という設問要求の前半を落とすパターン。
  • 「EV化に対応する」とだけ書いてどのようなEV関連部品・分野に参入するかの具体性が示されない解答。

加点のコツ

  • 「EV・医療機器・航空部品など隣接分野への参入」と具体的な参入候補を例示すると、技術転用の具体的なイメージが伝わり加点される。
  • 「産学連携・公的支援機関の活用で技術開発コストを抑制」という表現は、中小企業のリソース制約を踏まえた現実的な提案として採点官に評価されやすい。